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Category :
オステオパシー

腹側迷走神経

前回の続き

これまで社会を生きる上で生じるストレスについてお話ししてきました。現代のストレスは従来から提唱されてきたストレスモデル、交感神経優位か副交感神経優位かという単純なモデルでは説明しきれない症状があります。

「眠れない」「休めない」などは交感神経優位な状態であり精神が活性化しており「休めない」「眠れない」症状が出現します。しかし現代のストレスは、精神が活性化しているとは言い難く、むしろ無感情、無気力になる傾向があり、これは交感神経優位な状態とは真逆であり、これまでの理論モデルとは矛盾します。

しかしポリヴェーガル理論により背足迷走神経が優位になると「無気力」「無感情」になることがわかり、新たなストレスモデルが提唱されました。

現在ストレスは交感神経優位か背側迷走神経優位か、の2種類があると考えられます。

交感神経優位なストレスタイプは副交感神経優位な状態に戻すことが必要であり、精神を落ち着ける必要があります。では背側迷走神経優位なストレスタイプはどうスレいいのでしょうか。

背側迷走神経優位な場合は腹側迷走神経優位な状態に戻す必要があります。

腹側迷走神経は哺乳類のみに存在し、仲間とのコミュニケーションを活性化する過程で発達したものであり、腹側迷走神経の働きで「安全」を感じることができます。

自分を取り巻く環境が危険である時や、疲労困憊している時に他者とコミュニケーションをとる気になれないのは、腹側迷走神経がうまく機能していないからであり、私たちが他者との友好な繋がり、社会とのつながりが得られていると感じている時に腹側迷走神経は優位となり、心身がリラックスし安心安全を感じさせてくれます。

特に人は他の哺乳動物よりも他者との関係が必要です。生まれてすぐに1人で生きていくことは出来ず、必ず誰かの保護を受けなければなりません。また社会で生活するためにも「繋がり」を持つことは必要不可欠な要素です。しかし現代の社会では人とのつながりは希薄になり、また人間関係の難しさもあり「繋がり」を回避する傾向がますます強くなってきています。

これらの影響もあり、ストレスを受けた際に背側迷走神経優位な状態から腹側迷走神経優位な状態に戻すことが難しくなっているのではないでしょうか。

腹側迷走神経を刺激するには、他者とのコミュニケーションなどを通じて獲得されますが、必ずしも人でなくても構いません。家で飼っているペット、昔から使っているぬいぐるみ、などのようにその人が安心安全を感じられるものであることが重要です。

他にも亡くなった大切なひとの思い出の品、自然を感じる事で自然との繋がりを感じるなど、その人に安心を感じさせてくれる物を少しずつ見つける事で徐々に腹側迷走神経の基盤は出来ていきます。